Pixel 9、Pixel 9 Proシリーズの高額設定はAppleユーザーに対する『ようこそGoogle』の布石か。

スマートフォン

Googleは2024年8月14日(水)、『Pixel 9』『Pixel 9 Pro』『Pixel 9 Pro XL』『Pixel 9 Pro Fold』といったスマートフォン4モデルを同時リリースしました。

Googleストアにおける直販価格は『Pixel 9:128,900円〜』『Pixel 9 Pro:159,900円〜』『Pixel 9 Pro XL:177,900円〜』『Pixel 9 Pro Fold:257,500円〜』と、前世代からの高額路線を踏襲。

GoogleのTensorシリーズは『ミドルクラス』の性能を持つSocです。Android Authorityなど主要メディアがリークしている『Tensor G4』の情報を参考にすると、アップデートのメインは『電力効率』の向上。

同Socを搭載することでたとえ電池もちが改善されたとしても、処理能力で他社のハイエンドと肩を並べるのは現実的に難しい。『価格が近いならSamsungのハイエンドを購入する』というAndroidユーザーが大半でしょう。

では対象が『iPhoneユーザー』ならばどうか。『iPhoneしか使ったことがない』私の知り合いは、『端末性能に拘りが少ない(よく分からない)』場合が多数。しかしAndroidを採用するメーカーは複数。『どれを選んで良いのか分からない』から、ある意味惰性で使い続けています。

日本はiPhoneユーザー比率がとても高い国です。その理由の一つには『通信キャリアがいち早くiPhoneの取り扱いを開始した』ことが挙げられます。

Pixelシリーズは、2018年にドコモとSoftBankが『Pixel 3』『Pixel 3 XL』の取り扱いを開始。2019年にも『Pixel 3a』『Pixel 3a XL(SoftBankのみ)』を投入しましたが、当時は国内シェアを伸ばすことが出来ませんでした。

もっともiPhoneに近いイメージのAndroid端末』と言えば、Android OSの開発を行っているGoogleの『Pixel』シリーズ。iPhoneユーザーからシェアを奪いやすいデバイスのはずが、なぜ当時それに失敗したのか。

iPhoneと比較して、Pixelシリーズに圧倒的に足りなかったのは『ブランド力』の無さ。当時のPixelシリーズは『カメラ画質』のみで勝負している印象でした。そのカメラに関しても『ソフトウェア処理に頼りすぎ』な部分があり、コア層が定着するには至らず。

ドコモは一旦Pixelシリーズの取り扱いを止めていましたが、4年ぶりに『Pixel 7a』を採用。その頃から状況が一気に好転しました。

Googleは2023年日本国内市場シェアにおいて、前年比成長率『+527%』という驚異的な伸びを記録(IDCより)。『10.7%』と二桁のシェアを獲得して国内『3位』に躍進。

一体Pixelシリーズに何があったのか。Googleが方向転換し、『ブランディング』に本腰を入れたのは『Pixel 6』シリーズから。SocにはGoogle名義の『Tensor』を初採用し、処理能力をミドルクラス上位まで引き上げました。

カメラに関しても、核となる『イメージセンサー』を大型化。物足りなかった『ハードウェア』の部分が強化されたことで、『カメラスマホ』としての方向性をしっかりと確立。

Tensorは『機械学習』に長けており、初搭載された『消しゴムマジック』が一世を風靡。Pixel 6シリーズの登場(Tensorの採用)で、カメラに加えて『AI』の付加価値がプラスされたのです。

AIスマホとしての進化はシリーズ毎にアップグレード。上位モデルが最初に最新機能を採用し、少し時間が経ってから『廉価なAシリーズでも使えるようになる』という流れが最近は確立されつつあります。

シェア率の急進は、Pixelシリーズのブランディングが『うまくいっている』ことを実証。もっとも、『最上位』『ベーシック』『廉価』の棲み分けがうまく機能していなければ、シェアを一気に増やすのは困難です。

需要に合わせて価格設定を上げると、ブランドイメージが向上するので、通信キャリア側は目玉端末としての『キャンペーン』を打ちやすくなります。

直販店(Googleストア)は『ストアクレジットを付与』『下取り価格を高くする』ことで、お得感を出しつつ『Googleデバイス使用率』を高めることが可能。

iPhoneに加えて『Apple Watch』も使っているユーザーは、Googleにとって最高のターゲット。『Pixel+Pixel Watch』をセットで売れる可能性が高いからです。

iPhoneを下取りに出してPixelシリーズを購入し、付与されたストアクレジットでPixel WatchをGET!一見無謀な価格設定は、Appleユーザーに対する『ようこそGoogle』への布石かもしれません。

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