中華スマホは世界トップクラス、しかし『格安中華PC』は相変わらず激ヤバだった

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中華スマホと分解した格安中華ミニPCを対比し、CPUやSSDのスペック偽装疑惑を示した記事トップ画像

AliExpressで購入した激安ミニPC。調べてみたら、スペックのほぼすべてが偽装されていた

少し前、久しぶりに『アリエク』の通称で知られる海外通販サイト『AliExpress』で買い物をしました。

購入したのは、見るからに怪しさが漂う激安ミニPCです。筐体はブランドロゴやメーカー名が一切入っていない、真っ黒で簡素なデザイン。製品ページには、次のようなスペックが掲載されていました。

  • プロセッサー:Intel Processor N150
  • メモリ:32GB
  • ストレージ:2TB SSD

クーポンを適用した購入価格は、3万円台前半でした。

PCパーツや半導体関連製品の価格が上昇し続けている昨今、この構成で3万円台前半というのは、冷静に考えればあまりにも安すぎます。

それでも購入時は、『ブランド名や広告費を削り、ノーブランド品として限界までコストを下げているのだろう』などと、かなり能天気に考えていました。

しかし、現実はそれほど甘くなかったのです。

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32GBと記載されていたメモリは、実際には8GB(確定)

格安中華ミニPC内部に搭載されていたSamsung製DRAMチップ使用のSO-DIMMメモリ2枚

本体内部には、ノートPC向けのSO-DIMMメモリが2枚装着されていました。

メモリチップの刻印を確認すると、『Samsung K4B2G0846D』と読めます。これは1チップあたり2Gbit、容量換算で256MBの『DDR3 SDRAM』です(容量以前に規格まで違う)。

各メモリ基板の表面には8個のチップが搭載されています。この場合、片面分の容量は256MB×8個で2GB。裏面にも同数のチップがある両面実装だったとしても、1枚あたり4GB、2枚合計で8GB相当です(仕様比較でわずか1/4)。

販売ページに記載されていた『メモリ32GB』とは、物理的なチップ構成が一致しません。ちなみにWindows上の表示も『8GB(7.9GB)』でした。これに文句をつけない人は居るのだろうか?

格安中華ミニPC内部に搭載されていたSamsung製DRAMチップ使用のSO-DIMMメモリ2枚

当然ながら、32GBと8GBでは同時に動かせるアプリの数や、複数作業を行った際の快適性が大きく変わります。商品ページの表示を信じて購入した利用者にとって、到底許容できる差ではありません。

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2TB SSDの正体は、容量を偽装した128GBストレージ(推定)

格安中華ミニPC内部に搭載されていたSamsung製DRAMチップ使用のSO-DIMMメモリ2枚

搭載されていたのは、メーカー名や容量表記のないM.2 2280 SSDでした。ラベルのシリアル欄には『DX128』という文字列があり、WindowsのCドライブ容量も119GBと表示されています。容量表記上の差を考慮すると、実体は128GB級のSSDとみてよさそうです。

格安中華ミニPC内部に搭載されていたSamsung製DRAMチップ使用のSO-DIMMメモリ2枚

ところが『PC』を開くと、Cドライブとは別に『595GB』のD・E・Fドライブが3つ表示されていました。Cドライブを含めた表示容量は合計約1.9TBとなり、販売ページの『2TB』に近い数字になります。

しかし、595GB級の物理ストレージは3台とも見当たらず、私が確認出来たのは、写真のM.2 SSD 1枚だけです(そもそもスペースが無い)。

1台のストレージを複数の領域に分割すること自体は通常の操作ですが、128GB級とみられるSSDに対し、実容量を大きく超える595GBの領域が3つ追加表示されるのはどう考えてもおかしいです。

私は以前にも、同じような手口が使われた激安SSDを購入した経験があります。実際の容量よりも大きな容量をOSへ報告し、見かけ上は正常な大容量ストレージに見せかけるというものです。

この種の偽装ストレージは、表示上の空き容量が残っていても、実際の物理容量を超えた時点で正常にデータを保存できなくなる可能性があります。

仕事のデータや写真、動画などを保存していた場合、被害はPC本体の購入金額だけでは済みません。

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CPUもIntel Processor N150ではない!?(推定)

格安中華ミニPC内部に搭載されていたSamsung製DRAMチップ使用のSO-DIMMメモリ2枚

CPUについても、販売ページどおりのIntel N150ではない可能性が高いことが分かりました。

Windowsのタスクマネージャー上では「Intel(R) N150 800 MHz」と表示されています。しかし、同じ画面に表示されている内部仕様は、『2コア4スレッド』『ベース速度2.30GHz』『L3キャッシュ3MB』、内蔵GPUは『Intel HD Graphics 620』です。

正規のIntel N150は『4コア4スレッド』『キャッシュ6MB』のCPUであり、この画面の仕様と一致しません。

一方で、『2コア4スレッド』『2.30GHz』『3MBキャッシュ』『Intel HD Graphics 620』という構成は、旧世代の『Core i3-7020U』とほぼ一致します。

つまりCPU名だけを『N150』と表示させ、実際には古いCore i3系を搭載している可能性が高いです。ストレージだけでなく、CPU情報まで偽装されていたら、もはや『誤送』のレベル。

Windowsライセンスを確認すると『Volume』だった

起動後には、Windowsのライセンス認証方式も確認しました。結果は、予想どおり『Volume』系のライセンスでした。

WindowsのVolumeライセンスは、企業や学校などが、自分たちの組織内で多数のPCを管理するためのライセンスです。

たとえば、会社が100台の社内PCをまとめて認証するために使うものであり、販売店がそのキーを1台ずつ中古PCや格安PCに入れて、一般の購入者へ配るためのものではありません。

分かりやすく言えば、会社が社員用にまとめて契約した『法人向けの入館証』を、販売店が勝手にコピーして商品に付けて売っているようなものです。画面上でWindowsが『認証済み』と表示されても、購入者に正規の使用権が渡ったとは限りません。

中古PCには、そのPCにもともと付属していたOEMライセンスや、再生PC向けに正規に用意されたライセンスを使用する必要があります。Microsoftも、認定再生PCには正規性を確認するための専用ラベルを用意しています。

確認項目RetailOEMVolume
一般消費者向け原則として×
PC単体に付属させて販売購入形態による通常の一般販売用途ではない
別のPCへ移行原則可能原則不可法人契約の条件次第
PCメーカー名や証明が必要必須ではない通常はメーカーPCに付属契約組織と契約根拠が必要
格安PCに入っていた場合特に異常とは限らない正規なら問題なし正規の契約根拠がなければ強く疑うべき

そのため、販売業者が自社用または他社用のVolumeライセンスを中古PCや格安中華PCへ入れ、PCの付属ライセンスとして一般販売することは、通常のMicrosoftのライセンス条件で認められていません

しかも、Volumeライセンスの認証には、組織内の認証サーバーを定期的に確認するKMS方式や、契約台数の範囲内で使用するMAK方式があります。流出したキーや不正な認証方法が使われていた場合、購入時には使えても、後から認証が解除される可能性があるのです。

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調べなければ、異常に気づくのは数か月後だったかもしれない

今回のミニPCは、電源を入れればWindowsが起動し、表面上は『普通のPC』として動作しました。

そのため、購入直後にスペックやストレージの実容量、Windowsライセンスを詳しく調べなければ、不正や偽装に気づかなかった可能性があります。

たとえば、次のような問題が発生してから、初めて異常に気づくことに。

  • 複数のアプリを開くと、異常に動作が重くなる
  • 128GBを超えてデータを保存した頃から、ファイルが壊れ始める
  • Windowsのライセンス認証が突然解除される
  • N150搭載機としては、処理性能が明らかに低い

『PCに詳しくない人は気づきづらい』ので、ターゲットにされやすいということでしょう。

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中国製品全体の問題ではない。しかし、粗悪品は今も存在する

スマートフォンに付随する『カメラ』『充電性能』『ディスプレイ』『バッテリー』といった分野では、中国メーカーが世界トップクラスへと成長を遂げています。中国ブランドだから品質が低いという昔ながらの認識は、すでに時代錯誤。

一方で、その信頼感の向上を逆手に取り、粗悪品や偽装品を販売して利益を得ようとする業者が、現在も存在することを忘れてはいけません。

今回の問題は、中国製品全体の品質とは分けて考える必要があります。

問題なのは製造国ではなく、実際とは異なるスペックを掲載し、購入者が簡単には確認できない部分を偽装して販売する行為です。

普段は品質の高い中国ブランドのスマートフォンばかり購入していたため、私自身も完全に油断していました。

安すぎるPCを購入したら、最初に状態を確認してほしい

PCの内部情報を取得したり分解して『闇を暴く』には、かなりの労力を必要とします。しかし『何かおかしい』と思いつつ放っておくと、『ある日突然使えなくなった』という状況に陥りかねません。

『調べるのが面倒だ』『パソコンのことは良くわからん』という人に使っていただきたいのが、PCの情報や状態を確認するために開発した『HG PC Inspector Suite』です。

HG PC Inspector Suiterは、Windows PCに搭載されている『CPU』『メモリ』『SSD』などの情報を可視化し、購入時の説明と実機の状態に不自然な違いがないかを確認するための診断ツールです。

Windowsのライセンス情報を確認するための機能も用意しています。

現在公開しているのはBeta版のため、PCの構成やメーカー独自の実装によっては、一部の項目を正しく取得できなかったり、参考情報として不正確な表示が含まれたりする可能性があります。

そのため、HG PC Inspector Suiterの結果だけで、偽装や故障を断定することはできません。

それでも、次のような用途では役立つはずです。

  • 分解する前に、PC内部の構成を確認したい
  • 商品ページのCPUやメモリ容量と一致しているか調べたい
  • SSDの容量や認識状態に不自然な点がないか確認したい
  • Windowsライセンスの種類を確認したい
  • 新品、中古、フリマ購入品を使い始める前に点検したい
  • 販売店へ問い合わせるための参考情報を保存したい

特に、相場と比べて明らかに安いPCや、メーカー情報がほとんど掲載されていないPCを購入した場合は、重要なデータを保存する前に確認することをおすすめします。

『普通に起動したから大丈夫』とは限りません。

少なくとも『CPU』『メモリ』『ストレージ』『Windowsライセンス』の4項目は、購入直後に確認しておくべきです。

HG PC Inspector Suiterは『会員登録なし(無料)』で使用でき、診断結果は使用しているPC上に保存されます。

少しでも『このパソコン、安すぎないか』『掲載スペックと動作が合っていない気がする』と感じた人は、ぜひ一度お試しください。

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瀬名 勇斗
運営者
サラリーマン時代は『製品開発(モバイルガジェット関連)』『広告(パッケージ及び説明書など)デザイン』『ディレクション』『マーケティング』『コピーライティング』などに従事。一つの製品に深く関わる事が好きで、開発から行っているメーカーに勤務していました。

ガジェット好きが高じて、一時は日本で発売されていないスマートフォンを海外から輸入。『Xiaomi』『OPPO』に関しては、日本参入前からフリークに。

元々写真を撮るのが趣味で、スマートフォンで撮影した作例を記事内に多数掲載。端末の性能を知りつつ、楽しんでいただければ幸いです。
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