通信サービスは自ら『回線』『帯域』を提供する『MNO』、そしてMNOからそれらをレンタルしている『MVNO』の2通り。通信環境を提供しているという点は共通ですが、これらにはそれぞれ大きな違いがあります。
先述している通り、MVNOはMNOから『回線』『帯域』の一部をレンタル。
投じる予算に応じて一度に通信可能なデータ量の上限が決まるので、価格勝負のMVNOはユーザーが混雑する時間帯になると高速通信を維持するのが困難に。
中には混雑時の速度低下を避ける為に、予め上限を『低く』設定するdonedoneやmineoの様なMVNOも登場。高速通信に拘らず、コストを抑えて安定的に動画を観れれば良いという人は、これのサービスを検討してみてはいかがでしょう。
投稿が見つかりません。MNOはキャパシティが広いので、利用時間を問わず混雑時でも高速通信を維持しやすいのが特徴。ただし基地局の設置や管理、実店舗の運営などランニングコストはMVNOの比ではありません。よって利用料金はMNOの方が基本的に高額となります。
格安なMNOとして2020年4月からサービスの提供を開始したのが『楽天モバイル』。当初は月額『3,278円(税込)』のみの料金体系でしたが、『Rakuten UN-LIMIT VI』では0円(~1GB)、980円(~3GB)、1,980円(~20GB)、3,278円(無制限)とデータ通信量に合わせて利用料金が変動する仕組みに。
データ通信量を月1GB以内に収めれば、同社の通話アプリ『Rakuten Link』を利用すると0円の状態で『国内通話かけ放題』に。私は現在楽天モバイルをほぼ支払いと通話用の回線として使用していますが、お陰様でここ数ヶ月はどれだけ長く話しても通話料金『0円』です。
勿論通話がかけ放題になるだけでなく、MNOなので高速データ通信が可能(パートナー回線エリア内は最大1Mbpsで使い放題)。遅い時でも下り30Mbps程度は維持しているイメージ。下りだけでなく上りも速いので、ファイルの送受信が発生するビジネス用途にも向いています。
『NTTドコモ』『Softbank』『KDDI(au)』も楽天モバイルと同様にデータ通信無制限のプランを提供しています。4社のサービス内容と基本料金を比較してみましょう。
NTTドコモ | Softbank | au | 楽天モバイル | |
データ量 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
基本料金 | 7315円 | 7238円 | 7238円 | 3278円 |
テザリング | 対応 | 対応※30GB | 対応※30GB | 対応 |
通話料金 | 22円/30秒 | 22円/30秒 | 22円/30秒 | 0円※Rakuten Link 使用時 |
5分かけ放題 | 770円 | 880円 | 770円 | なし |
24時間かけ放題 | 1870円 | 1980円 | 1870円 | なし |
契約事務手数料 | 3300円※オンラインショップで手続きの場合は無料 | 3300円※オンラインショップで手続きの場合は無料 | 3300円 | 0円 |
契約解除料 | 0円 | 契約状況により異なる | 3300円 | 0円 |
MNP転出手数料 | 2200円、3300円 | 0円 | 3300円 | 0円 |
圧倒的な基本料金の安さに加え、Rakuten Linkを使用すると国内通話料金が『0円』になるというのはコストパフォーマンス的にワンランク上。他社の場合は『24時間かけ放題』を追加するとさらに1,870円~1,980円の追加料金が発生しますからね。
また、テザリング時のデータ通信量が制限されていない点にも注目。ただし公式サイトには『公平なサービス提供のため速度制御の場合あり』との明記があり、一部メディアからは1日10GB以上の通信を行うと速度が最大『3Mbps』に制限されるとの情報が報じられています。
『1080p』の高解像度で『5時間』動画観た場合に発生するデータ量が『10GB』程度。かなりの映画好きでも一日5時間観るという機会は中々無いのでは。
ちなみに、YouTubeが公開しているデータを参考にすると、3Mbpsでも『HD 720p』の解像度で動画を観続けることは可能。日付をまたげば通信速度が元に戻ることを考慮すれば、不便を感じることは殆ど無いでしょう。
動画の解像度 | 推奨される持続的な速度 |
---|---|
4K | 20 Mbps |
HD 1080p | 5 Mbps |
HD 720p | 2.5 Mbps |
SD 480p | 1.1 Mbps |
SD 360p | 0.7 Mbps |
『基本料金の圧倒的安さ』『国内通話かけ放題無料(Rakuten Link利用時)』『テザリングを含めた高速データ通信実質無制限』『各種事務手数料無料』。一見無敵とも言える楽天モバイルには、一部で『電波が入りづらい』という弱点があります。
その理由は楽天モバイルに割り当てられている4Gの周波数帯(通信バンド)が『3』に限定されているから。『バンド3』は通信速度に優れますが、建物内や山間部で電波がつながりづらいのです。
サービス開始当初はauの『バンド18』が楽天回線をしっかりサポート。しかし楽天回線の人口カバー率が70%を超えた地域では、両社協議のもとパートナー回線の提供を段階的に打ち切り。楽天回線エリアが着実に広がる一方で、au回線が使えなくなり電波が入りづらい地域や場所が徐々に増加。
- docomoが対応するバンド:1、3、16、19、21、26、28、42
- Softbankが対応するバンド:1、3、8、11、28、41、42
- auが対応するバンド:1、3、11、18、26、28、41、42
- 楽天モバイルが対応するバンド:3
電話をかけたい時に電波が入らなければ、いくら無料で『国内通話かけ放題』が使えても意味がありません。しかしその『圏外』を回避する方法が存在します。
通話アプリRakuten Linkはモバイル通信(Wi-Fiは非通知になる場合あり)さえ行えれば他社回線でも通話が可能。つまり通話用のSIMを『楽天モバイル』、データ通信用に『他社のSIM』を設定すれば、楽天回線が入らない場所でも通話が可能です。
金に糸目をつけないのであれば、『NTTドコモ』『Softbank』『KDDI(au)』のいずれかを契約した方が便利という人は多いかもしれません。ただし楽天回線エリア内に住んでいて、通信コストを出来るだけ抑えたいという人にとっては間違いなくコスパ最強の神サービス。
契約・解約に関する手数料及び、データ通信1GBまでは『0円』。気になる人はとりあえず一度試してみて、それからどういった使い方をするか決めれば良いのでは。楽天モバイルはフリーダムです。