楽天モバイルの『プラチナバンド』が間もなく始動。MNOとしての足場を固められるかに注目

ネットワーク

2020年4月8日に、通信キャリア(MNO)最後発としてサービスの提供を開始した楽天モバイル。開始当初からは比較にならない程電波状況が改善されるも、『自社回線でプラチナバンドを使えない』ことが弱点として指摘され続けてきました。

プラチナバンドとは700MHz~900MHzの低い周波数帯域の通称。周波数は高くなるほど速い速度で通信を行うことが可能。5Gのミリ波は『30~300GHz』の超高周波数に対応しており、プラチナバンドはその『真逆』。低速用の回線がなぜ『プラチナ』などと呼ばれているのか。

低周波のメリットは、減衰しづらく『山間部』『ビルの谷間』『建物内』『地下』といった場所でも『電波が届きやすい』こと。直進性が強く、基地局が近くにないと電波が届きづらい高周波とは逆の性質を持ちます。

楽天回線で使える最も低い(つながりやすい)周波数帯域は、2024年4月時点で『1.7GHz(バンド3)』。数値的にはプラチナバンドと比較して『つながりにくい』ということになります。

もっとも、同社は『楽天回線のみ』でサービスの提供を行ってきたわけではありません。電波が届きづらい場所や地域では、ローミング協定を締結している『au』の回線を補助的に利用可能。

しかし楽天回線の人口カバー率が『70%』を超えた地域では、両社協議のもと『パートナー回線』の提供が段階的に打ち切り。一時期『楽天モバイルがつながりにくい』という声が増えたのは、そのあたりも関係しているかと。

プラチナバンドが提供されない』『パートナー回線の打ち切りエリアが増える』という逆境が続いた楽天モバイルでしたが、基地局の数を増やし続けて2023年4月末時点で楽天回線の人口カバー率『98.4%』を達成(人口カバー率は、国勢調査に用いられる約500m区画において、50%以上の場所で通信可能なエリアを基に算出)。

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2023年4月にはauと新たなローミング協定を締結。2023年6月にスタートした『最強プラン』では、パートナー回線(プラチナバンド)を最大活用することで、人口カバー率を『99.9%』に拡大。『屋内や繁華街/高層ビルなどもふくめ電波がつながりやすく』をサービス内容として打ち出しました。

最強プランの開始に伴い、パートナー回線に設けられた『データ通信量が月5GBを超えたら最大1Mbps』という制限を撤廃。全回線で『高速データ通信無制限』に。

ユーザーにとっての嬉しいニュースはさらに続きました。2023年10月23日には、総務省が楽天モバイルに対して『プラチナバンド(700MHz帯)』を遂に割当。

帯域幅(道幅のようなもの)が他社と比較して狭い(楽天モバイル3MHz。ドコモ、au、ソフトバンクは20MHz)ので、利用人口の多い場所や地域では当分パートナー回線が活躍することになるでしょう。

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とはいえ、プラチナバンドの獲得は楽天モバイルにとって間違いなく『武器になる』と個人的には考えます。『パートナー回線の提供が終了した地域』の電波を低コスト補完しやすくなるのは大きいです。

楽天モバイルはプラチナバンド用にノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社の無線機を採用。小型かつ軽量であることが特徴となり、『仮想化』『Open RAN』にも対応。

Open RAN

楽天モバイルより

ノキア社のモバイルネットワーク部門でプレジデントを務めるトミー・ウィット氏は、楽天モバイルが700MHz帯を活用することで、特に屋内においてユーザーの利便性を向上することができる』としています。

基地局

アンテナと無線機のイメージ(楽天モバイルより)

楽天モバイルは当初の開設計画において、プラチナバンドのサービス開始日を『2026年(令和8年)3月頃』と定めていました。ところが『Rakuten新春カンファレンス2024』で楽天グループの三木谷会長は『2024年5月投入』と大きな前倒しを発表。

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2026年3月という設定は、恐らくauとのローミング協定終了を見越してのこと。しかし楽天モバイルは2023年4月の新協定により、auからローミングを受けられる期限を『2026年9月』まで延長しています。

人口カバー率を『99.9%』まで高めた状態でパートナー回線の通信状況を把握すれば、プラチナバンドに関する適正な投資が行えるはず。

5Gエリア拡大も同時に進める必要がある楽天モバイル。プラチナバンドでサービスの足元を固めつつ、着実に前に進んで欲しいですね。

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