大手半導体メーカーのQualcommは、2021年7月に自社名義のスマートフォン『Smartphone for Snapdragon Insiders』をリリースしました。製造はASUSが行い、販売価格は164,800円とかなり高額です。
メインカメラのイメージセンサーにはXiaomiのMi Note 10 LiteやZenFone 7、Zenfone 8シリーズが搭載している1/1.73インチの『SONY IMX 686』を採用。
イメージセンサーはサイズが大型化するほど光の取得量が増え、高画質な写真を撮りやすくなるという特性があります。最近ではSamsung ISOCELL GN2の様に、1 / 1.12インチサイズの一回り大きいセンサーが登場。16万円を超える高価格帯のスマートフォンであれば、出来るだけ大きいサイズのイメージセンサーを搭載して欲しいのが正直なところ。
Snapdragon Insidersのカメラ構成は以下の通り。
- メインカメラ
解像度:6400万画素
イメージセンサー:SONY IMX 686
F値:1.8
画角:78.3度
センサーサイズ:1 / 1.73
焦点距離:26mm(35mm換算)
画素サイズ:0.8µm(1.6µm【1600万画素】)
オートフォーカス:PDAF
手ブレ補正:光学式 - 望遠カメラ
解像度:800万画素
F値:2.4
焦点距離:80mm(35mm換算)
オートフォーカス:PDAF
望遠:光学3倍
手ブレ補正:光学式 - 超広角カメラ
解像度:1200万画素
F値:2.2
焦点距離:14mm(35mm換算)
センサーサイズ:1 / 2.55
画素サイズ:1.4µm
オートフォーカス:デュアルピクセルPDAF
カメラに関してはそこまでチカラを入れていないイメージだったSnapdragon Insidersが、世界一有名なカメラ画質比較サイトDxOMarkのランキングに急遽登場。なんと8月19日時点でXiaomi Mi 10 Ultraを抜いて世界第5位のハイスコアを記録。
スコアを見た瞬間、なぜSnapdragon InsidersがイメージセンサーにSONY IMX 686を採用したのかを理解しました。Snapdragon Insidersが搭載しているSoc『Snapdragon 888』の力をフルに引き出せば、イメージセンサーに頼らずともカメラ性能をここまで高められる事を示したかったのでしょう。
DxOMarkは『素早く正確なオートフォーカス』『適正なノイズの制御(静止画/動画)』『撮影結果に近いプレビュー機能』『低照度における広いダイナミックレンジ』『適正なホワイトバランス』などをSnapdragon Insidersの優れたポイントとしています。
短所については『局所的にコントラスが低くなる』『局所的な信号の喪失』『RGBへの変換が時折不正確』『近距離、低照度撮影時のホワイトバランスの乱れ』『低照度な場所での動画画質レベル低下』といった点を挙げています。
イメージセンサーのサイズに拘らず、ソフトウェアの強化によりカメラ画質を高めているスマートフォンには『Google Pixel』『iPhone』『Xperia』などが存在します。ただし3社は1,200万画素程度の解像度に焦点を絞って開発を行っているので、Snapdragon Insidersとはやや特性が異なる印象。
私はカメラ画質にこだわる場合はイメージセンサーで選ぶべきという考えですが、Snapdragon Insidersの様なスマートフォンが登場するとソフトウェアとSocが持つAI性能の未知なる可能性に興味が高まります。