2022年3月11日、NTTドコモは4Gで使用している周波数帯を5Gに転用し、2024年3月までに5Gエリアの人口カバー率『90%以上』の達成実現をめざすと発表しました。
NTTドコモ報道発表資料
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2022/03/11_02.html
これまでNTTドコモは新周波数となる『n78(3.7GHz)』『n79(4.5GHz)』『n257(28GHz)』を中心に5Gエリアの拡大を実施。この取り組みは4Gからの転用を中心にエリア拡大を行なっているSoftbank、KDDI(au)と一線を画したものでした。
4G転用の何が問題なのかと言えば、『Sub6』『ミリ波』とは『帯域幅』が明確に違うから。4Gが最大で『20MHz』なのに対し、Sub6は『100MHz』でミリ波は『400MHz』。帯域幅は道路の様なもので、広いほど一度に大きなデータ量の転送が可能となります。
NTTドコモはこれまでSoftbank、KDDI(au)の5Gエリアに対し批判的な意見を投じてきました。そのNTTドコモがなぜ『4G転用』をはじめるのか。
Sub6、ミリ波はどれも高周波なので、4Gと比較して電波が届きづらい状況にあります。その上5Gの基地局は4Gと比較してまだ数が少ないので、4Gとエリアが被っている地域では4Gで通信する場合が多いのです。
そうなるとユーザーからは『5Gエリアなのに5Gが繋がらない』という声が聞かれるようになる訳で、それは真の5Gエリアををいち早く拡大してきたNTTドコモにとって大きなマイナス。
逆にSoftbank、KDDI(au)は『4G転用の5G』なので、『5Gが繋がらない』といった状況は少なくなります。しかし先述している通り、転用しているだけなので速度は4Gと変わりません。あくまで表示が『5G』に切り替わっているだけです。
ユーザーが『Sub6』『ミリ波』と『4G転用』の違いを認識していない場合、SoftbankとKDDI(au)の方が優位にビジネスを進められてしまうという皮肉な現状。NTTドコモの『4G転用開始』は仕方なくの部分も大きいのでしょう。
転用を予定しているのは『3.4GHz』『3.5GHz』といった高速通信をしやすい高い周波数に加え、山間部や建物内でもつながりやすい『700MHz』。速度の低下を抑えつつ『5Gが繋がらない』と言われないようにする為の施作がなされています。
同社はすでに5Gによるキャリアアグリゲーション『Sub6-CA』の提供を開始しており、4G転用の新周波数を束ねることも可能になるかは今後の注目ポイントですね。
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