シンガポールの調査会社『Canalys』によると、2021年第二四半期におけるTWS(完全ワイヤレスイヤフォン)の出荷台数は前年同期比で+6.4%。プラス成長を続けるも、年間成長率としてはここ3年間で最低の数字。急激な成長が止まり、市場がピークを迎えたと予測されます。
メーカー別に見ていくと、最も大きく年間成長率を落としたのは意外にもApple。-25.8%となり1,550万台を出荷。市場シェアは38%から26.5%に落としています。主力となるAir Podsシリーズのリリースが2019年。そこから2021年までに多数のメーカーがTWSをリリースしており、価格的にもやや割高である事が成長率を落とす原因になっているものと予想します。
Appleと対照的に285.4%という高い年間成長率を達成し、250万台を出荷して7%のシェアを獲得したのは2003年創業のヘッドフォン・オーディオメーカー『Skullcandy』。名前の通りスカルがトレードマーク。若者受けするカラフルなデザインが特徴です。エントリーモデルの『DIME』は3,990円(税込)という買いやすい価格帯。
かたや『INDY ANC』の様なハイブリッドノイズキャンセリングを搭載する本格モデルも取り揃え、ラインナップが豊富なのも魅力。デザインやカラーバリエーションも選り取り見取りなのでアクセサリー感覚で買っている人も多いはず。
2021年6月にはBragiとの提携を発表。Skullcandyのチーフプロダクトオフィサーは『カスタマイズしたクラス最高のBTSocとBragiOSを利用して、ハンズフリーによる音声制御、カスタマイズ可能なボタンインターフェースなど、高度な機能を提供する』としています。
シェア2位となったのはスマートフォン事業が絶好調のXiaomi。年間成長率は5.7%と大きくはありませんがプラス成長は堅持。出荷台数は530万台で市場シェアは9.1%。
世界ではじめて『Snapdragon Sound』をサポート(アップデートで対応)する『FlipBuds Pro』をリリースするなど、高性能なハイエンドモデルの投入も積極的に行っているXiaomi。スマートフォンのシェア拡大と共に、TWS市場でもさらなる成長が今後も期待されます。
シェア3位はスマートフォンが低調気味のSamsung。年間成長率40.5%とTWS部門は絶好調。520万台を出荷してシェア率は8.8%となっています。アナリストCynthia Chenによると、同社のGalaxy Budsシリーズに加え、子会社となる『HARMAN』や『JBL』のラインナップ強化が出荷を底上げしているとの事です。
アクティブノイズキャンセリング搭載モデルが1万円を切り始め、価格競争が激化しているTWS市場。音質に拘っている人は少ないイメージ。今後はSkullcandyのようにデザインで差をつける必要があるのかもしれません。
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