2021年7月30日、MMD研究所は『最も利用しているスマートフォン非接触決済サービス』に関するアンケート調査結果を発表しました。対象は18歳~69歳の男女45,000人。調査期間は2021年7月1日~7月5日となっています。
スマートフォンによる非接触決済はは3つのサービスが高い割合を占めており、1位は『iD』で24.4%。2位は『モバイルSuica』で『23.1%』。3位が『楽天Edy』で『22.4%』となっています。これら3サービスにはどういった違いがあるのか、特長をまとめてみました
決済端末普及台数150万台以上。幅広いサービスと店舗に対応する決済プラットフォーム『iD』
iDは『NTTdocomo』が提供している決済プラットフォーム。『Orico』『セゾンカード』『dカード』といったポストペイ(後払い)型のクレジットカードに加え、『メルペイ』『LINE Pay』『ソフトバンクカード』といったプリペイド型(先払い)、さらには『SMBCデビット』『GLOBAL PASS』の様なデビット型(支払いと同時に銀行口座から引き落とし)といった幅広い支払い方法がiD決済に対応する店舗で利用可能に。2021年8月1日現在でiD決済端末の普及は150万台を超えており、使い勝手の良さが一番の魅力と言えるでしょう。
交通機関から流通までを幅広く網羅するSuicaのスマホ版『モバイルSuica』
モバイルSuicaは『JR東日本』が提供するICカード『Suica』をFeliCaチップ搭載のスマートフォンで利用する事を目的としたサービス。『Suica』以外に『PASMO』『ICOCA』『SUGOCA』『nimoca』『HAYAKAKEN』のマークがついた店舗でも利用可能。
2019年12月時点でSuicaの発行枚数は8,343万枚となり、利用可能な店舗数は100万店舗。約5,000の駅と30,000台のバスで使えるなど、流通から交通までを幅広く網羅。元々ICカードタイプのSuicaを利用していて、そのままモバイルSuicaに移行したという人は大勢いるでしょう。
スマートフォンをのみで定期券の発行やチャージに加えグリーン券の購入を完結出来るので、券売機やみどりの窓口に並ぶ必要が無くなります。さらにJRE POINTに登録すれば、電車の乗車やグリーン券の購入時にポイント還元(50円ごとに1ポイント)を受ける事も可能です。
楽天ポイントとの連携により『お得』と『使い勝手の良さ』をWで実現している『楽天Edy』
楽天Edyは『楽天Edy株式会社』が提供するプリペイド型(先払い)電子決済サービス。コンビニやスーパー、ドラッグストアなど、全国85万箇所以上(2021年8月1日時点)の加盟店での利用が可能。
楽天カードからチャージを行えば200円ごとに楽天ポイントが1ポイント付与。さらに楽天Edyで支払いを行えば200円ごとに楽天ポイントが1ポイント付与されるので、Wでポイントを受けとる事が可能です。
楽天市場で貯まった楽天ポイント(期間限定ポイント以外)を楽天Edyにチャージする事も出来るので、楽天ポイントを活用出来る店舗が実質一気に広がります。
iD、モバイルSuica、楽天Edyはそれぞれ特長が異なる
iDは『支払いの豊富さ。設置されている決済端末の数』、モバイルSuicaは『交通・流通の支払い幅広く対応』、楽天Edyは『ポイント付与率の高さ、楽天ポイントからのチャージに対応』とそれぞれサービスの特長が微妙に異なります。よって、FeliCaチップ搭載端末を使っている人であれば、3サービス全て利用している場合が多いのではないでしょうか。
楽天ペイとSuicaの連携により楽天の影響圏が流通から交通に拡大
楽天ペイメント株式会社が提供する楽天会員向けの電子決済サービス『楽天ペイ』では2020年5月25日からSuicaの利用が可能に。楽天Edyと同様に200円チャージするごとに楽天ポイントが1ポイント付与されます。そして2020年12月9日、遂に楽天ポイント(期間限定ポイント除く)からSuicaへのチャージが可能に。
楽天ペイでは定期券の発行を行う事が出来ないので、モバイルSuicaとサービスが同等ではありません。しかしSuicaが使える店舗の数は100万店舗以上。そして交通機関の支払いにも実質楽天ポイントが使える様になった事実。楽天の影響圏が流通から交通まで広がったのです。
今後利用者が一番増えそうなのは『楽天Edy』。楽天の真の目的は決済サービスのさらなる普及か
楽天ポイントを実質的に利用出来る範囲が大きく広がっている事や、楽天モバイルのサービス品質向上の影響が今後『最も利用を健闘しているスマートフォンの非接触決済サービス』というアンケート結果に表れています。
楽天Edyが『20.5%』で伸びしろはダントツ。2位に『モバイルSuica』、3位に『Visaのタッチ決済』と続き、現在1位の『iD』は4位で9.7%に留まっています。
通信サービス業でもライバル関係にある『楽天』と『NTT docomo』。通信環境に開きがある原状においては、まだまだNTT docomoが優位な状況。しかし決済サービスと共に利用者数を着々と伸ばしている楽天モバイル。今後下剋上も十分に考えられます。
オンライン流通市場から始まりオフラインの席巻も進める楽天。無謀にも思えた通信キャリアへの挑戦は決済サービスのさらなる普及が一番の目的か。そうでなければ『0円プラン』の妥当性は見いだせませんからね。点と線が間もなくつながろうとしているのかもしれません。