2022年11月4日、ASUS(エイスース)が日本市場において、5.9インチの小型ハイエンドスマートフォン『Zenfone 9』の発売を開始しました。
販売価格は8GB/128GB『99,800円(税込)』、8GB/256GB『112,800円(税込)』、16GB/256GB『129,800円(税込)』。カラーは『サンセットレッド』スターリーブルー『ミッドナイトブラック』『ムーンライトホワイト』の4色展開。
Zenfone 8と同じくFeliCaチップを搭載し、『おサイフケータイ』をサポート。スマートフォンの性能を決めるSocはSnapdragon 888から『Snapdragon 8+ Gen 1』へとアップグレードしています。
予め言っておくと、私は『小型ハイエンド』に対してあまり良いイメージを持っていませんでした。何故かと言えば、ハイエンド用のSocは基本的に『GPU性能が高い』から。
形状が小さくなるとその分放熱スペースが狭くなるので、GPUをフル稼働させると内部温度が大きく上昇。物理的に大容量電池の搭載も厳しいので、『連続駆動時間』も短め。
前モデルとなるZenfone 8に関しても、高性能モード設定時は『発熱』『電池の減り』が顕著でした。そういった事情もあって、『Zenfone 9』を出すのであれば『SocはGPU性能の低いミドルクラスに落とした方が良いのでは』と勝手に思っていました。
しかしZenfone 9に搭載されていたのは、Zenfone 8のSnapdragon 888からGPU性能を更に高めた生粋のハイエンド用Soc『Snapdragon 8+ Gen 1』。おいおいこれは大丈夫なのか。ASUS JAPANからZenfone 9(8GB/128GB)の実機をお借りしましたが、もしかしたらネガティブキャンペーンになってしまうかも。
前モデルとなる『Zenfone 8』、Googleの小型ハイエンド『Pixel 6a』、Snapdragon 8 Gen 1を搭載する『Motorola edge 30 Pro』の実機を使い、『AnTuTu Benchmark』『Geekbench 5』『3DMark』でZenfone 9と比較検証開始!
※検証結果は気温やバージョンによって変動するので、日時とバージョンを揃えて計測を行っています。
Zenfone 9、Zenfone 8、Pixel 6a、Motorola edge 30 ProのAnTuTu Benchmarkスコアを比較
端末名 | CPU | GPU | MEM | UX | TOTAL | 電池温度変化 | 電池の減り |
Zenfone 9 | 257,7804 | 406,229 | 177,721 | 178,593 | 1020,347 | +6度(26→32) | -4% |
Zenfone 8 | 198,213 | 303,820 | 132,107 | 164,194 | 798334 | +11度(29→40) | -8% |
Pixel 6a | 197,124 | 283,820 | 108,807 | 141,411 | 731,162 | +9.2度(24.2→33.4) | -4% |
Motorola edge 30 Pro | 222,791 | 436,496 | 158,349 | 169,599 | 987,235 | +7度(28→35) | -7% |
まずはスマートフォンの性能をトータルで知る事が出来る『AnTuTu Benchmark』の測定から。CPU、GPU、MEM、UXすべてのスコアが上昇し、トータルで『1020,347』。小型ながらなんと100万を超えて来ました!
何より素晴らしいのが、GPUスコアを『406,229』まで高めながら、温度上昇『+6度(26→32)』、電池の減り『-4%』に抑えている事。
Zenfone 8は温度上昇『11度(29→40)』。電池の減りも『-8%』とZenfone 9の2倍程度消費。それでいてトータルスコアは『798,334』。Zenfone 9の凄まじい進化がしっかりと数字に表れています。
Google Tensorを搭載する小型ハイエンド『Pixel 6a』は全ての面で凌駕。Snapdragon 8 Gen 1を搭載する6.7インチの大型ハイエンド『Motorola edge 30 Pro』もGPU以外はリード。
この性能アップに最も大きく影響を与えているのは恐らく『Snapdragon 8+ Gen 1』。そしてもう一つは強化された冷却システム。
銅製のヒートスプレッダ、熱伝導グリス、グラファイトシートなどを使用し、従来の『ヒートパイプ式』から『ベイパーチャンバー』に切り替え。さらに冷却部分を2倍に拡大。新しい冷却システムがSnapdragon 8+ Gen 1のポテンシャルを最大限に引き出しているという事ですね。
Zenfone 9、Zenfone 8、Pixel 6a、Motorola edge 30 ProのGeekbench 5スコアを比較
Snapdragon 8+ Gen 1(4nm)のCPU構成
- Cortex-X2×1(3.2GHz)
- Cortex A710×3(2.8GHz)
- Cortex A510×4(1.8GHz)
Snapdragon 888(5nm)のCPU構成
- Cortex-X1×1(2.8GHz)
- Cortex A78×3(2.42GHz)
- Cortex A55×4(1.8GHz)
Google Tensor(5nm)のCPU構成
- Cortex-X1×2(2.8GHz)
- Cortex A76×2(2.25GHz)
- Cortex A55×4(1.8GHz)
Snapdragon 8 Gen 1(4nm)のCPU構成
- Cortex-X2×1(3GHz)
- Cortex A710×3(2.5GHz)
- Cortex A510×4(1.8GHz)
続けてスマートフォンの脳となり、データの演算処理を行うCPU性能を『Geekbench 5』で再計測。Snapdragon 8 Gen 1とSnapdragon 8+ Gen 1は同じ『4nm』プロセスを採用。ただし8 Gen 1は『Samsung』、8+ Gen 1は『TSMC』と製造ラインが異なります。
8+ Gen 1ではプライムコア『Cortex-X2』の最大周波数を3GHzから『3.2GHz』に。ビッグコア『Cortex A710』も2.5GHzから『2.8GHz』にオーバークロック。
最大周波数が上がった事で、Zenfone 9はシングルコアが『1,314』、複合的に並列処理などを行うマルチコアも『4,247』とどちらも4モデル中最高値を記録。
CPUの最大周波数を高めつつ、GPU性能を若干抑えてバランスをとることで『発熱』『電池の減り』を改善しています。
Zenfone 9、Zenfone 8、Pixel 6a、Motorola edge 30 Proの3DMarkスコアを比較
3DMark検証結果詳細
Zenfone 9 | Zenfone 8 | Pixel 6a | Motorola edge 30 Pro | |
Overall score(1回目) | 8,775 | 5,789 | 6,669 | Maxed Out |
Overall score(2回目) | 8,779 | 5,787 | 6,702 | Maxed Out |
Overall score(3回目) | 8,763 | 5,709 | 6,517 | 8,149 |
Avarage frame rate(1回目) | 52.50(33fps~67fps) | 34.70(24fps~44fps) | 39.90(24fps~54fps) | Maxed Out(40fps~74fps) |
Avarage frame rate(2回目) | 52.60(34fps~68fps) | 34.70(24fps~43fps) | 40.10(16fps~56fps) | Maxed Out(21fps~75fps) |
Avarage frame rate(3回目) | 52.50(34fps~68fps) | 34.20(24fps~43fps) | 39.00(27fps~53fps) | 48.80(21fps~74fps) |
電池の減り(1回目) | 73%→73% | 69%→68% | 62%→62% | 57%→56% |
電池の減り(2回目) | 73%→72% | 67%→66% | 61%→61% | 55%→54% |
電池の減り(3回目) | 71%→71% | 66%→64% | 61%→60% | 54%→53% |
温度変化(1回目) | 23度→23度 | 25度→27度 | 24度→27度 | 23度→24度 |
温度変化(2回目) | 23度→25度 | 27度→29度 | 26度→28度 | 25度→25度 |
温度変化(3回目) | 26度→26度 | 29度→31度 | 28度→31度 | 25度→27度 |
3Dゲームプレイや動画編集時に活躍するGPUの性能を知る事が出来る『3DMark』。耐久性を調べるために3回連続で休み無く計測しています。
Zenfone 9のOverll scoreはZenfone 8から3千程度上昇。平均フレームレートも20fps近くアップしています。負荷がかかった状態でも、1秒間に20コマ近く滑らかに表示。
そしてAnTuTu Benchmarkだけでなく3DMarkにおいても、『電池の減り』と『温度上昇』はZenfone 9がもっとも優秀。Snapdragon 8 Gen 1を搭載するMotorola edge 30 Proより少しだけGPUの負荷を減らす事で、トータルでバランスのとれた動作を実現しています。
Zenfone 8では『高性能モード(最大リフレッシュレート120Hz)』を選択すると、かなりの勢いで電池が減りました。Zenfone 9では高性能モードでも電池の減りは緩やか。日常的な使い方では体感で2~3倍程度電池持ちが良くなった印象。
ミドルクラスに近い『発熱』『電力消費』なのに性能は最上位。それを『5.9インチサイズ』で実現したZenfone 9。これは小型ハイエンドの革命機になるかもしれない。
ASUS Zenfone 9の主な仕様
Zenfone 9 | |
---|---|
Soc | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen1 (4nm)
|
容量 | 8GB/128GB、8GB/256GB、16GB/256GB
|
電池 | 4,300mAh(最大30W(約1.3時間でフル充電) |
重量 | 169g |
サイズ | 高さ約146.5mm×幅約68.1mm×奥行き約9.1mm |
画面 |
|
カメラ |
リアカメラ
フロントカメラ
|
防水防塵 | IP68 |
Bluetooth | 5.2 |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax |
オーディオ | デュアルスピーカー(Dirac HD Sound) |
SIM | nano SIM×2スロット |
おサイフケータイ | 対応 |
OS | Android™ 12 (ZenUI) |
Zenfone 9の対応周波数帯に関する情報
- 5G NR:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/n77/n78
- FDD-LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28
- TD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41/B42
キャリアアグリゲーション :6CA(DL)/2CA(UL) 対応 - W-CDMA:B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19
- GSM/EDGE:850/900/1,800/1,900MHz
docomoの周波数帯対応状況
- 4G:Band1(◎)、Band3(◎)、Band19(◎)、Band21(×)、Band28(◎)、Band42(◎)
- 5G(sub6):Band n77(◎)、Band n78(◎)、Band n79(×)
docomo回線が使えるお勧め格安SIM
Softbankの周波数帯対応状況
- 4G:Band1(◎)、Band3(◎)、Band8(◎)、Band11(×)、Band28(◎)、Band42(◎)
- 5G(sub6):Band n77(◎)
Softbank回線が使えるお勧め格安SIM
auの周波数帯対応状況
- 4G:Band1(◎)、Band3(◎)、Band18(◎)、Band41(◎)
- 5G(sub6):Band n77(◎)、Band n78(◎)
au回線が使えるお勧め格安SIM
楽天モバイルの周波数帯対応状況
- 4G:Band3(◎)、Band18(パートナー回線)(◎)
- 5G(sub6):Band n77(◎)