2023年4月26日、NTTドコモはネットワーク戦略に関する説明会の中で、一部ユーザーの指摘(ドコモ回線が遅い、ドコモ回線が繋がらないなど)に対する原因を明示。
説明会の内容をまとめたImpress Watchの記事を参考にすると、原因は過度なトラフィックの増加によるもの。エリア構築の際はトラフィックを予想の上基地局を建てるが、再開発により撤去せざるをえない事由が発生。
高周波数帯域で電波が届きづらくなったところに人が一気に流れ込むと、低周波数帯域が逼迫。それが結果的に『ドコモ回線が遅い』『ドコモ回線がつながらない』を引き起こしているのだと。
高い周波数ほどデータ通信を『高速』で行う事が出来ます。ただし直進性が強く、低周波と比較して『減衰しやすい(届きづらい)』のも高周波の特徴。つまり『基地局の撤去』によりもっとも影響を受けやすいのは『高速通信』。
ドコモが述べている通り、高周波が届かない場所は『低周波』で通信を行うことになります。しかし低周波の主な用途は『高速大容量通信』ではなく電波を繋げること。あくまで高周波を補填する位置づけです。
4Gの帯域幅(道幅のようはもの)は最大『20MHz(5G Sub-6は100MHz)』ですが、低周波の場合はこの幅が狭くなります。狭い道に沢山の車が一気に流れ込んだらどうなるか。渋滞して動かなくなりますよね。
通常4Gはキャリアアグリゲーション(複数の周波数帯を同時に使用すること)により効率・高速化をはかっていますが、高速道路は事故で通行止め。道幅の狭い一般道はその影響で大混雑。この状況でどういった解決策が頭に浮かぶでしょうか?
1つは道路を増やすこと。基地局を増やすことがそれに該当。『4G』の基地局を現地点で過度に増やすことは、結果的に5Gの整備を遅らせることになります。
かと言って、『5G』のエリアを短期間で4G並みに広げることも実質不可能。まだ5G非対応のスマートフォンを使っているユーザーが多い現状を鑑みても、費用対効果が高いとは言えないでしょう。
NTTドコモは同問題を、『カバーエリアの調整』『周波数帯の分散制御』といった対策により、2023年夏までの解消を目指すとしていましたが、これは明らかに『道路を増やす』の施策ではなく、どちらかと言えば『走っている車の流れを整備する』といった内容。
今にして思えば、これは『NTTレゾナント吸収合併』『OCNモバイルONE新規受付停止』『新格安プランirumoスタート』の完全に伏線でした。
NTTレゾナント吸収合併により、指揮系統はNTTドコモに移ります。その上でOCNモバイルONEの新規受付を停止すれば、ユーザー数が増えない(むしろ減る)ので一定の帯域圧迫を抑制。
NTTドコモが用意したOCNモバイルONEの代替えプラン『irumo』も、紐解けば『高周波(4G)を出来るだけ使わせない』といった内容のものでした。
0.5GBコースに関しては最大通信速度『3Mbps』止まり。3GB以上のコースは『ドコモ光』『home 5G』とのセット割がメイン。光回線や帯域幅の広い5Gの活用を推奨しています。
『2023年夏』に突入してしまった2023年7月17日現在において、『状況が大きく改善された』とは言い切れません。今後一体どういった展開を見せるのか。4Gと5Gの間に揺れるモバイル通信業界からしばらくは目が離せません。
格安SIMに関する記事
一覧はコチラから