Bluetoothの高音質コーデックと言えばSONYの『LDAC』が代表的。Qualcommが2021年3月に発表した『Snapdragpn Sound』は、同社が提供している技術を組み合わせて最適化する事で、『96kHz/24bitの高解像度音質』『超低遅延』『クリアな音声通話』『優れた接続性』を実現。
LDACはエントリーモデルにも対応しているのに対し、Snapdragon SoundはBluetooth Socや無線技術が上位に限定。手軽さで言えば2022年7月時点でLDACの方が上手です。ただしそこまで拘り抜いているという事は、当然音質に期待が持てます。
つい先日、ずっと気になっていたSnapdragon Soundに対応するBluetoothイヤフォンを遂に購入。日本メーカーAVIOTの『TE-BD21j-ltd』です。同社で初めてSnapdragon Soundをサポートする製品。
音質を左右するバランスドアーマチュアドライバーには、創業70年以上となるアメリカの老舗『Knowles社』のワイドレンジ高品位ユニットを2基採用。振動版の軽量化と マグネットの強化により、応答速度の向上を実現しています。
AVIOTの省電力技術と最新Bluetooth Socの相乗効果により、イヤフォン単体での駆動時間は『最大9.5時間(aptXTM 、aptXTM Adaptive接続時は2~3割程度短くなる)』。専用充電ケースを使用すれば『最大45時間』まで延長可能です。
Snapdragon Soundの音とは実際どんなものなのか。TE-BD21j-ltdのレビューを行いつつ確認していきましょう。フィルムには『VGP(国内最大級のオーディオビジュアルアワード)大賞』『VGP金賞』『24bit/96kHz』『Snapdragon Sound』のシールが貼られています。
パッケージは凄まじい高級感。レザー調のテクスチャがプレミアムモデルにぴったり。かなりコストかけてます。これ格好良すぎて捨てづらいですね。
フタを開けると早速イヤフォン本体と充電ケースがお目見え。パッケージに負けない存在感を放っています。
続けてパッケージの中身を見ていきましょう。製品保証登録カードには『重要』の文字が。製品保証を受けるにはWEB登録が必須に。登録すると通常1年間の保証期間が『+3ヶ月』延長。さらにパーツを紛失した際に特別価格で提供されるなど特典あり。
充電ケースは飛行機などにも使用され、高い強度をもつ『ジュラルミン』素材を使用。全体的に指紋が目立たないマットな質感ですが、フタとの境界部分だけ斜めにカットされ光沢のあるブロンズ色に。良いアクセントとなりラグジュアリーな要素がプラスされています。
イヤフォンのローレット部分もジュラルミン素材の削り出し。見た目にインパクトを与えるだけでなく、滑り止めとしての効果も。ケースと同じく光沢あるブロンズカラーがアクセントに。シンボルマークもバシっと決まっています。
AVIOTの持つプロダクトデザインへの強い拘りが随所に。量販店で実物を見かけたら見た目買いしてしまいそうなクオリティ。
充電ケースにイヤフォン本体を入れる時、最初は向きが分からず少し戸惑うかもしれません。すぐに慣れましたが。
充電ケーブルはUSB-A→USB Type-Cの汎用的なもの。可もなく不可も無くといったところ。いたって普通です。
意外だったのはストラップの付属。凹凸のあるローレット部分はストラップの滑り止めにもなっています。左右分離型だと耳から落としそうで怖いという人も安心ですね。
イヤーピースは『シリコン』素材と『ウレタン』素材のものがそれぞれ3サイズずつ。イヤーピースのフィット感を重視している人は、ジャストサイズが無かったら別途購入した方が良いかも。2種類の素材から選べるタイプは珍しいですね。
充電ケースやケーブルなどをまとめて持ち歩けるAVIOTのロゴ入り専用ポーチも付属しています。
中身の確認が終わったので次はスマートフォンとイヤフォンのペアリング。端末はSnapdragon Soundに対応している『Motorola edge 20』を使用。
イヤフォンを充電ケースから取り出すとLEDランプが点滅してペアリングモードに。Motorola edge 20の場合は『設定』→『設定済みのデバイス』→『新しいデバイスとペアを設定する』の順に選択。
使用可能なデバイスに『AVIOT TE-BD21j-ltd』が表示されているのを確認したら選択。
『AVIOT TE-BD21j-ltdをペアに設定しますか?』と表示され『ペア設定する』を選択するとペアリング完了です。
TE-BD21j-ltdの接続状況を見ると、『HDオーディオ:Qualcomm aptX Adaptive』で接続されている事が分かります。
次に『設定』→『電話情報』から『ビルド番号』を『開発者向けオプション』が有効になるまで連続でタップ。そうすると『設定』→『システム』の中に開発者向けオプション項目が追加されます。
開発者向けオプション内の『HDオーディオ』をONにし、『Bluetoothオーディオコーデック』が『Qualcomm aptX Adaptiveオーディオ』、『サンプルあたりのBluetoothオーディオビット』が『24ビット』になっているのを確認したら、『Bluetoothオーディオサンプルレート』を48.0kHzから『96.0kHz』に変更。
Snapdragon Soundを試す準備が整ったので、ハイレゾ音楽配信サービス『Amazon Music HD』で高解像度音源を聴いてみる事に。
Amazon Music HDにはSnapdragon Soundに最適化したプレイリスト『ULTRA HD Snapdragon Sound』が用意されています。選曲は『Qualcomm』。5~6千円程度のBluetoothイヤフォン(AAC接続)でこのプレイリストを聴くと、音にメリハリがなく伸びも足りません。歌声もどことなく乾いている印象。
続けて『TE-BD21j-ltd』。はっきりと分かるレベルで劇的に音が変わりました。『電子ピアノ』が『グランドピアノ』に変化。一音一音が途切れずにしっかりと響き渡り、乾いて聴こえた歌声もウェットに。
中でも圧巻だったのがJack Garrattの『Ashes to Ashes(Amazon Original』。歌声が低音から高音まで広域に響き、ピアノは強弱あり。デジタルの限界を試すようなかなり難しい曲です。
本来それなりの有線イヤフォンで聴くのがベストであろうこの曲を、『TE-BD21j-ltd』は心が動くレベルで奏でてくれます。曲を聴いて『感動する』『感動しない』はイヤフォンを選ぶ上でかなり重要ですよね。
Jack Johnsonの『Better Together』も、低スペックなイヤフォンで聴くと『歌っている』ではなく『語っている』様に聞こえます。『TE-BD21j-ltd』では『歌っている』と認識出来るので、やはり高いパフォーマンスを持っているという事になります。
1万円以下のBluetoothイヤフォンであれば、恐らく太刀打ちできないであろう『TE-BD21j-ltd』。ただしアップデートでLDACをサポートしたAnker Soundcore Liberty Air 2 Proと聴き比べると・・・正直そこまでハッキリとした音の差を感じる事は出来ませんでした。迷っている人は実際に聴き比べてみた方が良いかと。
投稿が見つかりません。SONYが『LDAC』を発表したのは2015年。それなりの時間が経過しているので、メーカーからすればチューニングしやすいというのが正直あるでしょう。それを踏まえれば、Snapdragon Soundはまだこれから伸びしろあり。今後のアップデートが楽しみですね!
Snapdragon Soundに対応するスマートフォン・イヤフォン・ヘッドフォン一覧
イヤフォン
- EDIFIER NeoBuds S
- AVIOT TE-BD21j-ltd
- AVIOT TE-BD21j-ltdpnk
ヘッドフォン
- Edifier STAX SPIRIT S3
基本仕様
ドライバー | φ8mmダイナミック型及びバランスドアマチュア型ドライバーによるハイブリッドタイプ |
最大入力 | DC5V/500mA |
通話用内蔵マイク | Qualcomm® cVc8.0ノイズキャンセリング |
バッテリー容量 | イヤホン片耳50mAh ケース500mAh |
最大通話時間 | 6時間 |
最大連続再生時間 | 9.5時間aptX (aptX Adaptiveコーデックを使用した場合には、再生時間が2~3割程度短くなる) |
イヤホン本体充電時間 | 約1.5時間 |
充電ポート | USB Type C |
専用アプリ | AVIOT SOUND XXX |
充電ポート | USB Type C |
防水レベル | IPX4相当 |
Bluetooth仕様
Bluetooth version | 5.2 |
マルチペアリング | 4デバイス |
対応コーデック | AAC,SBC,Qualcomm® aptX™ ,Qualcomm® aptX™ Adaptive |
対応プロファイル | A2DP,HFP,HSP,AVRCP |
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